
書類では見えない学生の“らしさ”を可視化! LayerXのAI面接活用法とは

株式会社LayerX
株式会社LayerXは、「すべての経済活動を、デジタル化する。」をミッションに掲げ、業務効率化AIクラウドサービス「バクラク」を中心にAIや大規模言語モデル(LLM)を活用した事業を展開しています。
- 業種
- IT・通信
- 社員数
- 101~500名
記事内のサービス名・社名・所属は取材当時のものです。「Zキャリア AI面接官」は現在「Z AI面接」に名称を変更し、運営は株式会社ROXXからルーセントドアーズ株式会社へ移管しています。
「すべての経済活動を、デジタル化する」をミッションに掲げ、AI-SaaSプロダクト「バクラク」を中心に生産性向上を支援するLayerX。
新卒採用の強化に伴い応募数が増加し、面接官の対応工数の増大と、書類だけでは“その人らしさ”が捉えにくいことが課題でした。そこで「Zキャリア AI面接官」を導入し、より応募者の人物面が見出しやすい新たな採用手法に挑戦されています。今回はHR Success部マネージャーの宮本さん、新卒採用チームの綱島さんに導入の背景や効果、そして今後の展望を伺いました。
書類選考では“らしさ”を把握しにくい

―――新卒採用でAI面接官の導入を検討した背景を教えてください。
2023年から新卒採用を本格化したのですが、その分応募数が増えたことで採用リソースがひっ迫していました。
また、生成AIの普及により応募書類の質は全体的に底上げされましたが、内容の均一化が進み、応募者一人ひとりの「その人らしさ」や「温度感」が埋もれがちになっています。
そこで、書類選考では見えにくい人物像を一次面接前に把握できる新たなステップを設ける必要があると考えました。
―――比較検討した手段と、AI面接官を選んだ決め手は何でしたか?
録画選考(あらかじめ用意された質問に対して、応募者が自分で動画を撮影して回答する方式)と、オンラインで行うグループディスカッションも検討しました。
ただ、録画選考は応募者の準備の手間がかかるわりにその人らしさが捉えづらく、グループディスカッションは接続のラグや発話の被りなど不確実性が大きいと感じました。
一方でAI面接は、対話の“間”や反応の自然さを含めて、応募者がより自分らしく自然に対話できる仕組みだと感じたんです。
学生からも録画選考に対しては、一定のネガティブな声があった一方で、AI面接は先進的で面白いというポジティブな声が多かったです。学生にとって賛否があることは承知のうえで、こういった先進的な取り組みを実施していること自体に魅力を感じていただける学生に会いたいと思いました。
書類選考とAI面接の組み合わせは、こうした価値観の共有を初期段階から進めるうえでも有効だと考え、まずはサマーインターンシップから導入することを決めました。
0.5次面接の設計により一次面接の質が向上した

―――選考フローはどのように変わりましたか?
2025年のサマーインターンから、特定の方にAI面接を案内しました。
AI面接は“0.5次面接”として位置づけ、一次面接はAI面接の内容確認に加えAI面接の録画やAI評価に目を通して気になった点の深掘りに集中しています。フローはAI面接 → 一次面接 → 内定というシンプルな構成です。
Zキャリア AI面接官は学生がURLを受け取れば24時間いつでも面接が実施できるため、実際に他社選考の合間に面接実施するケースが目立ち、「他社選考と日程が被らないので受けやすい」という声も多くいただきました。
―――導入後、どのような効果を感じていますか?
まず、一次面接の質が明らかに向上しました。
Zキャリア AI面接官は弊社独自の質問に基づいて面接を行い、その録画データを確認することで応募者の人となりを事前に把握できます。一度の面接ですべての内容を聞き切る必要がなくなり、対面の面接ではAI面接とは別の観点を深掘りでき、応募者との会話もより濃くなりました。
きっと、書類選考だけで判断していたら見落としていたであろう応募者の良い点や個性などに気づけたのも大きな収穫です。
さらに、AI面接により一次選考の効率化が進み、採用担当者のリソースが空いたことで、事前案内や参加前フォローなど人事面談などを通じて、サマーインターンシップに参加いただける方と直接お話しできる機会が増やせるようになりました。
結果的に、応募者の体験向上にも繋げることができています。
―――採用KPIなど、何か定量的に変化を感じた点はありますか?
大きな成果として、従来人事が対面で行っていた一次面接の通過率と、AI面接での通過率がいずれも約6割と同水準でした。
これはAI面接でも十分に応募者を知ることができるという確かな証明になりましたね。
―――応募者の反応はいかがでしたか?
サマーインターンシップ参加者の中でAI面接を実施した学生の方々は想像以上にポジティブな反応で、正直驚きました。
「斬新で面白い」「先進的」「パーソナリティを評価してもらえる」「24時間いつでも受けられて助かる」といった声が多く寄せられ、私たちだけでなく学生にとっても大きなベネフィットがある施策になったのではないかと思います。
小規模導入から段階的な展開を検討

―――想定していた不安や、運用してみての手応えにギャップはありましたか?
当初は面接プロセスを対面からAI面接に置き換えることでの採用成果に不安がありました。応募者の中には「機械的に扱われている」と感じてしまい、結果的に弊社への意向度が下がってしまう恐れもあると考えたからです。
しかし、AI面接は弊社の面接空き枠に左右されずに応募の受け入れ体制が作れるので、応募者を1日もお待たせすることなく選考を開始できます。
重要なのはAIに“置き換える”という発想ではなく、AIによってより候補者一人ひとりに深く向き合うことができるようにすることです。0.5次面接として応募者の人物としての解像度を上げ、対面面接では人が合否に関わる重要な対話に集中する、この役割分担が採用の質向上に繋がっています。
―――今後の活用イメージを教えてください。
今回の検証で、新卒ビジネス職においてはAI面接の有効性を一定確認できました。
一方で、安定した品質での面接官の対話・応答という観点では伸び代も大きいと感じています。当社としては、AI面接を含む採用領域における生成AIによる新たな変化を機会と捉えて、より良い候補者体験を作るために継続的かつ積極的に模索をしていきたいと考えています。
LayerXは2025年4月に行動指針を改訂し、「Bet AI」を掲げました。
AIを10年に一度のパラダイムシフトと捉え、迷ったときこそAIに賭ける選択をすることの意思を固く表明したものになります。
採用においても、従来の当たり前にとらわれず、時代の変化に合わせてどんどん進化すべきです。そういった意味だと、Zキャリア AI面接官はこれまでの採用業務の本質的なあり方や人事のリソース配分に大きな変化をもたらす存在であり、私たちの方針とも重なります。
今回はまず試行導入として位置づけています。どの選考フェーズで最も効果を発揮するかは今後も検証を重ねますが、同様の課題に向き合う企業の皆さまの検討の一助になれば幸いです。
―――最後に、導入を検討している企業へメッセージをお願いします。
繰り返しになりますが、AI面接は、人に向き合う時間を広げるための1つの手段です。
弊社はAI面接を前段に置いたことで、一次面接で「候補者のことを深く知るための会話」に集中できるようになりました。
AIが合否を決めるのではなく、AIが相互理解を支え、人が最終判断をします。応募者の体験を損なわず、むしろ「多角的に見てもらえた」という実感につながると感じています。
どのフェーズで活用するのが適切かは、実際に運用してみると見えてきます。まずは小さく、たとえば新卒採用の一部ポジションやインターンから0.5次としてAI面接を導入し、その動画や文字起こし情報を二次面接の材料にする。
この一歩だけでも、面接の質は大きく変わりますから、できるところから試してみてください。